=調理方式は単独か、共同かをめぐる議論について=
はじめに
当市の学校給食設備が老朽化と関係法令等の基準を満たしていないということで、教育委員会(以下教委といいます)では学校給食設備の更新を行おうとしています。教委の調理場計画は
5,500食を一か所で作る共同調理場です。これに対し、市民の皆様から賛否の声があがっています。就中一部のPTAの保護者の皆様からは共同調理場方式を再検討すべきという請願書が
市議会に出されております。議員のなかでも賛否が分かれています、と言いますよりも5500食に反対する議員の声高な声が議会に響いています。
この問題は、PTAなど学校関係者だけでなく、広く市民の皆様にとって関わりのあることと考えますので、先ず客観的に見た当市の市勢などの状況を分析させて頂き、かつ現時点におけ
る教委案をお示しして読者ご自身が給食問題を考えるよすがとしていただければと考えます。
○学校給食の位置づけ(学校給食センター基本計画(案))より
・学校給食とは ・・・・・ 学校給食法に基づき、学校教育の一環として実施するもの。
栄養バランスの良い調和のとれた食事の提供、食事マナーを身につける、
食の大切さ、食べ物への感謝などに関する指導の生きた教材。
・学校給食の目標 ・・・・・ ①健康の保持増進、②望ましい食習慣、③社交性及び協同の
精神の涵養、④生命及び自然を尊重する精神、環境保全に寄与する態度の養
成、⑤勤労を重んずる態度の養成、⑥伝統的食文化へん理解、⑦食材の生
産、流通、消費を正しく理解。
・学校給食に求められるもの ・・・・・ ・第1に安全・安心な学校給食の提供
・「食」に関する指導
○当市の財政の現状
財政状況は県内13市の財政と比較してその相対的な位置づけから客観的にみることができると思います。
各種指標の比較
①地方債現在高倍率(%):22年度 183.0。
県下13市の数字が低い(良い)方から7位にあります。13市平均が179.4(単純平均)です。なお、19年~22年度の数字の改善率でみると13市中第9位です。
②実質公債費(3ケ年平均)比率(%):22年度 16.5。 18%以上の団体は、地方債の発行に際し許可が必要となります。13市中ワースト3の第3位です。
③基金残高(財政調整基金+減債基金+その他特目):22年度 3,489百万円。基金積立の少ない(悪い)方から13市中第4位です。
④将来負担比率(%):22年度 115.4。13市中比率が高い(悪い)方から第5位にあります。
⑤財政力指数:22年度 0.740。13市中高い(良い)方から第5位です。
⑥経常収支比率(%):22年度 93.2。13市中高い(悪い)方から第3位です。
⑦経常一般財源比率(%):22年度 92.0。13市中低い(悪い)方から第2位です。
⑧自主財源比率(%):22年度 47.3。13市中高い(良い)方から第6位です。
次に給食を実施している学校の調理場方式の現状を調べてみました。全国及び県内各市の状です。 
○調理場方式の現状
完全給食実施の全国公立小・中学校 平成20年度
単独方式:12,856校(43.4%)、共同方式:16,237校(54.8%)
その他方式:541校(1.8%)
県内各市の学校給食共同調理場の状況
下関市:6共同調理場 3,050食~333食、合計8,067食
宇部市:4共同調理場、1センター 3,222食~116食、 合計8,216食、26年度建設予
定、約4,000食
山口市:11共同調理場、4センター2,245食~221食、合計7,647食
萩市:7共同調理場469食~54食、合計1,141食
防府市:1共同調理場、1センター3,200食~280食、合計3,480食
下松市:1給食センター、1,600食
岩国市:4給食センター、1,200~75食、合計5,475食
光市:2給食センター、3,936食~570食、合計4,506食、26年度建設予定、約4,500食
長門市:2給食センター、2,158食~329食、合計2,487食
柳井市:1給食センター、2,810食
美祢市:8共同調理場、707食~115食、合計2,195食
周南市:6給食センター、3,599食~234食、合計13,102食
当市の現状
旧山陽町は自校方式、旧小野田市は親子方式 (自校方式・・・学校に給食室がある学校、親子方式・・・1校で2校分の給食を作り(親)、もう1校(子)へ配送する)。
・自校方式・・・厚狭小、出合小、厚陽小、埴生小、津部田小、厚狭中、厚陽中、埴生中(8校)
・親子方式(前が親)・・・高千帆小→高泊小、高千帆中→有帆小、小野田中→小野田小、須惠小→赤崎小
竜王中→本山小(親5校、子5校)
○市内各学校の調理室の状況
毎年宇部環境保健センター(県の施設)の臨場のもと給食施設の点検を受けていますが、その「集団給食施設監視結果」に基づき、各学校が指摘された問題点について「来年度予算にて対
応、及び来年度以降予算にて検討」とした項目から抽出します。
これを見ますと、給食室を持つ12校に指摘事項があります(平成23年度)。
・照明不足(高千帆小、須惠小、高千帆中)
・洗濯機は場外に出せ(須惠小、厚陽中)
・手洗い設備の消毒装置を固定式のものとせよ(須惠小)
・汚染作業区域及び非汚染作業区域を明確に区分せよ(厚狭小、津部田小、小野田中)
・壁、フードの塗装の剥離に早急に対応せよ(厚狭小、埴生中)
・トイレ内に専用の手洗い設備(大型受槽)の設置(出合小、厚狭中)
・加熱、非加熱調理用食材、器具の洗浄等を行うシンクは別にせよ(埴生小、津部田小、埴生中)
・換気扇シャッター部の破損を補修すること(厚狭中)
・配膳棚の両サイドに戸を設置せよ(厚狭中)
・器具類の保管設備を増設せよ(厚狭中)
○「学校給食のあり方」検討会議での調理室に関する指摘事項
これは6回開催された会議で、給食調理員や栄養教諭の皆様の証言です。
・汚染区域と非汚染区域とはペンキで分けてあるが、多忙となると境界線はなくなる。
・ドライ運用にはほど遠い状態。
・天井の至る所に水滴がたまり、給食室全体に落ちて来る。食材の上にも落ちるので、ラップをしたり移動して給食を作る。
・床の破損がひどい。カビが生えハイターをかけても中々落ちない。
・水道管は20年以上経っており、錆がでて紅茶のような水が時々出る。
・ハンバーグや照り焼きのとき冷蔵庫がないので、焼いたものを常温で放置している。
・ボイルした野菜を冷やすのも放置である。
・市内全校がウェット式であるが、小野田は釜の廻りが少し掘り下げてあり、水が散らないようになっているが、山陽は平らで流せばその辺に水が拡がる。
・汚染区域、非汚染区域に分かれていないので、その水の上を踏んだら汚いまま部屋中を歩くことになる。
・室内温度25℃以下、湿度80%以下という基準があるが、6月~9月は30℃になる。
・真空冷却機がないので、ボイルした野菜は水で冷やすが、夏は水温が28~29℃あるからそれ以上には冷えない。
・水の使えないもの(ハム、炒り卵、竹輪など)は扇風機を使ったり、窓際において自然の風で冷やしている。
・山陽地区は厚狭小・中以外は2人の職場なので、肉を触ったあと手を洗い、エプロンを替えて梨の皮むきを日常的にやっている。
・食器の熱風消毒保管庫がない。Etc

○全12調理場の基準対応の可否一覧表(教委「あり方」検討会議(23年10月、第3回での資料)より
・ドライ化に必要な面積(現状との差):全調理場が不足(最大432㎡~95㎡)
・ドライ・ウェットの別:全調理場がウェット方式
・作業区域の区分:全調理場で区分されていず
・外部解放箇所のエアカーテン設備:全調理場になし
・空調設備:全調理場になし
・保管室:有は4調理場、8調理場はなし
・外部からの汚染を受けない検収室:有は2調理場、10調理場はなし
・排水が飛散しない構造の排水溝:全調理場になし
・釜廻りの排水が床面に流れない構造:有は5調理場、7調理場はなし
・配膳室の明確な区分:有は9調理場、3調理場はなし
・調理場から3m以上離れたトイレ設備:有は2調理場、10調理場はなし
・作業区域ごとの手洗い場:有は9調理場、3調理場はなし
・肘まで洗える大きさの手洗い場:全調理場になし
・シンク数が基準を満たすもの:2調理場、10調理場はなし
・真空冷却機:全調理場になし
○学校給食費とコストの実態
当市の給食費(保護者の負担分)と市の負担分はおよそ次のようになっています。
・給食費 250百万円 ・食材費 250百万円
・市負担 400百万円 ・人件費・水道・光熱費 400百万円
総額650百万円ですから、負担割合は保護者が約38.5%、市が61.5%です。
学校給食法では、「施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるもの(施行令第2条に規定)は、義務教育諸学校の設置者の負担」と定められ、上記以外
の給食に要する経費は、保護者の負担と定められています。つまり食材費が保護者の負担ということです。「市負担」の400百万円は市民の税金です。
○建設費 3つのケースごとの教委の試算
①のケース:現状の施設を改築又は改修した場合
②のケース:給食センター1か所建設(5,500食)の場合
③のケース:給食センター2か所建設の場合(3,000食と3,000食)
事業費 交付金 起債 一般財源(ア) (単位:百万円)
① 3,769 265 2,453 1,051
② 1,666 154 1,354 158
③ 2,120 156 1,772 192
① ② ③
起債償還額(利子込) 3,398 1,876 2,455
上の内交付税措置額 1,020 1,313 1,719
起債に係る市の負担(イ) 2,378 563 736
・センター方式の配送は民間委託を想定
・交付金は文科省の食数による補助単価、面積で計算
・起債は合併特例債を想定 ・起債償還は20年(据置3年)、利率2.5%
・各事業費は類似施設等を参考に計上
・2か所目の用地購入費は場所未定のため見計上
○以上の3つの試算に基づく実質的な市の負担(ア+イ)
①のケース : 1,051 + 2,378=3,429 ・・・・・最も高い
②のケース : 158 + 563= 721 ・・・・・最も安い
③のケース : 192 + 736= 928 ・・・・・2番目
○給食センターの維持管理費
・施設維持管理費は現行(年約4億円)より約30百万円の減額が見込まれる。
人件費:230、 光熱水費:37、 配送委託料(車両分含む):53、 その他物件費:50
合計:370 (数字は概数、単位:百万円)
○その他の教委の対応
・食物アレルギー対応 ・・・・・ 食物アレルギーのある児童生徒は、23年度当初122人。
1人が何種類も複数のアレルギンを抱えていたり、中には重度の症状が出る子もいるなどその状況は今後ますます複雑化、多様化することが予想される。
・アレルギー食対応調理室の設置
・その調理に必要な人員の適正配置
・配送は氏名等の明記
・配送校側での十分な確認等で確実な対応をおこなう。
・食材の安定供給と地産地消を推進 ・・・・・ 安全な食材を安定的に確保の観点に立つ
・供給体制の見直し、充実を図る
・地産地消率の向上を図る(学校給食の本市農業振興への貢献)
・米飯給食を週4回以上に増やし、自己炊飯設備の導入
・災害時における給食センターの役割 ・・・・・ 災害時における被災者への食事の供給体制の中
に、この施設を組み入れることは、今後の消防担当部局との協議に委ねる。
・効率的な運営 ・・・・・ 施設の機能を低下させることなく、可能な限り建設費や維持管理費を
縮減し効率的な運営をする。
以上当市の財政状況及び教委の給食センター計画の概要をお示ししました。私の見解は挟んでいません。私の意見は後日公開させていただきます。私の希望は読者の皆様がご自身の意見を
構築して頂きたいと願うからに他なりません。この一文が読者の皆様の意見づくりに役立ちますことを願っております。なお5月14日の総務文教委で、教委の考えが変わった面もあります
が、私のこの稿はその日より前に書きあげていましたので、その点は修正していません。私の意見をアップするときに、載せることといたします。


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